アスペルガー症候群の特徴と症状・治療法

コミュニケーションにおける質的な障害

 

アスペルガー症候群や高機能自閉症、自閉症スペクトラム障害など、アスペルガー症候群およびその関連の障害は、現在、その診断基準が専門家のあいだでさえ揺れているのが現状です。

 

診断のバイブルといわれるアメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引き』DSM-4では、アスペルガー症候群としばしば比較、混乱される、自閉症の診断基準の「コミュニケーションにおける質的な障害」として、次の4つを挙げています。その具体的な例をあげてみます(参考『みんなで学ぶアスペルガー症候群と高機能自閉症』星和書店2004)

 

1.話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如
2.会話を維持することが困難
3.不自然もしくは反復的な言語
4.発達水準に不相応な遊び

 

まずはこの1~4の症状のうち、1と2のふたつについて、その具体的な例は以下の通りです。

 

症状1話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如
●2歳までに単語を用いたコミュニケーションを一切行わない。
●3歳までに簡単な句を用いることがまったくない。
●発話がみられるようになった後も、文法は未熟で間違いが繰り返される。

 

症状2会話を維持することが困難
●会話の開始、継続、あるいは終了の方法がわからない。
●話を前後させ、あれこれ話題を交えて語ることはほとんどない;会話を独り占めし延々と話し続ける。
●他人の発言に応じることができない。
●特別に関心のある話題以外の話をすることが困難。

 

これらの基準だけをみると、確かに「障害」であるようにも思われますが、「正常」との境がいかにあいまいか、また正常と限りなく近いところにある場合もあるということがわかるのではないでしょうか。